リコーの記事広告

今日は、リコーの記事広告の原稿が戻ってきた。
先週の月曜日に提出してからずっと戻りが気になっていたが、
細かい直しが3ヶ所あっただけで、大きな修正指示はなかったのでホッとした。
社会環境室の室長さんからのコメントに、「クオリティの高さに驚きました」と
あったのは、嬉しかった。本当は驚かれていてはダメなのだが、ウチの場合、
雑誌そのものが超無名な上に僕の取材のやり方が非常に素人っぽいため、
褒められるときは大抵、驚かれながらになってしまうのである。
リコーの記事広告を書かせてもらうのは今回で5回め。
ずっと環境をテーマにしてきたので、今回は目先を変えようと思って、
CSR」と「GR DIGITAL」の2本の企画書を出したのだが、結局は
先方の要望で再度環境で行くことになった。テーマは「森林生態系保全」。
地味なテーマだったが、いつもの通り取材には非常に丁寧に応えていただき、
資料も十分提供していただけたので、やる気はマンマンであった。
ただ、生態系保全について調べてみると、そもそもなぜ生態系を
保全しなくてはならないのかという理論的根拠が、どの基礎資料を見ても、
十分説得的に説明されていないことに気が付いた。この疑問は、
生物多様性はなぜ大切か?』という本を読んで解決した。
要するに、生態系は一般に構造が複雑であるため、その多様性を高めることの
メリットを科学的に証明するのが難しい、ということらしい。
そのことが専門家による啓蒙活動のブレーキとなっている側面があるようだ。
それを知り、また日本および海外の環境コンシャスな有名企業のほとんどが、
生態系保全活動にはあまり力を入れていないこと、そのなかでリコーは、
「生態系保全は企業の責任」と考えて1999年から世界中で地道に森林生態系を守り、
あるいは再生する活動にコミットしてきたことを知ったとき、記事の組み立てが出来上がった。
しかし、記事の構図はできても、リコーの記事広告には一つ大きな難点がある。
それは、レトリックに頼れないことだ。技術力勝負のメーカーはどこもそうだが、
特にリコーのレトリック嫌いは徹底しており、ちょっと浮ついた比喩でも使おうものなら、
そこだけバッサリと削除されてしまう。一方、このブログだけ読んでもわかるとおり、
僕は大のレトリック好きである。なので、レトリックを使えないリコーの仕事は、
心理的にかなり厳しいものになる。とはいえ、そういう厳しい条件のもとで書くことが
自分のライターとしての成長に繋がることはもちろん僕も分かっているので、
邪心を捨てて、慎重に裏を取りながら、事実に即して堅実に書いていくことになる。
そのように書いた記事だけに、好評の有り難味がひときわ身に沁みた次第。
編集長も気をよくしたようで、滅多にないことだが、月曜からランチを奢ってくれた。
この調子なら、少なくとも今週いっぱいは、遅刻のリスクを取ってリアルタイムで
純情きらりを見てから家を出ても大丈夫だろう。よかったよかった☆