『ウェブ進化論』(梅田望夫著)を読んで

期待以上に面白く、啓蒙的な本であった。Web2.0の明確な定義をはじめ、今後のインターネットの発展が引き起こすであろう社会の構造的変化、その変化が革命的なものになると考えてよい理由、Googleという会社の凄さと恐しさがどこにあるのか、ヤフーや楽天mixiが面白くない理由、はてなが面白い会社になるかもしれない理由などなど、興味深い話をたくさん読むことができた。興味深いと同時に非常に元気の出る本でもある。Web2.0時代のバイブルになるかもしれない。世代論的な視点が強調されている部分があり、ネットの未来を全面的に若い世代に託してしまっているところは読んでいてやや寂しかったが、託した著者の気持ちも分らないではない。僕自身この本を読んでインターネットの未来が明るいことをほぼ確信できたが、それと同時に、ネットが自分の居場所ではないこと、そしてこれからも決して自分の居場所にはならないことも確信せざるを得なかった。インターネットは民主主義者のためのものであり、今後ますますそうなっていく。しかし私は、たぶん、本質において民主主義者ではなくエリート主義者なのだろう。だからグーグルやマイクロソフトやアップルの話は好きなのに、はてなやブログやソーシャル・ブックマークの話にはあまり興味をそそられないのだろう。これはもう仕方がない。民主派への成長はすっぱり諦めて、自分の本質を忘れないようにしよう。ウェブの進化には、付き合い程度についていくことにして。