宮崎あおい in 純情きらり

達彦(福士誠治)に赤紙が来たことで、家業の後継者作りを迫られた
かね(戸田恵子)は、出征前に達彦をまたいとこと結婚させてしまおうとする。
一方、達彦に赤紙が来たことを知った桜子(宮崎あおい)は
矢も盾もたまらず達彦に会いに行く。そして、達彦に向かって
「達彦さんに赤紙が来て、私にとって一番大切なものが何かわかりました。
わたしと結婚してください。」と真っ向からプロポーズする。すると達彦は、
桜子の期待に反してその申し出を拒む。
「俺は店のためにまたいとこと結婚する。だからお前とは結婚できない。」
そう告げられ、悲しそうな表情で立ちすくむ桜子。その後キヨシ(井坂俊哉)が達彦に
「なんで桜ちゃんの気持ちに応えてあげないんだ!」と怒りをぶちまけながら
達彦に殴りかかる。達彦は応戦しつつ、「有森と結婚してもし俺が死んだら、
あいつは一人でこの店を継ぐことになるんだぞ。お前だって愛する人を未亡人に
したくはないだろう」と諭す。その情景をかねがこっそり見ていた。
桜子は路頭に立って達彦のために千人針を集め始める。
「どなたか御身内の方がご出征ですか?」と問われ、「はい。」と答える桜子。
その情景をもまた、かねはこっそり目撃しているのであった。。。


かねの目撃しすぎは明らかに不自然だが、明日の心変わりの布石だから許す。
今日はなんと言っても、桜子への愛ゆえにわざと桜子に冷たくあたる達彦の
演技が良かった。感情を押し殺し、「本当は俺もお前が好きなんだ」的なことは
そぶりにも出さず、あくまでも冷淡に桜子に「結婚できない」と告げる達彦。
その男らしさにはグッとくるものがあった。見ていてちょっと気になったのは、
桜子が達彦に結婚の申し出を拒否されたとき、桜子はただショックと
信じがたい思いに襲われて悲しんでいたのか、それとも、拒絶の裏に
達彦の思いやりを感じとって、そのことの嬉しさもあって泣いていたのか、
そこのところがあおいちゃんの演技からだけでは判断しきれなかったことだ。
演出上あえて曖昧にしたのか、それとも僕の感受力が乏しいだけなのか。
なんとなく後者っぽいけど、その微妙な分からなさも決して不快ではなく、
むしろ、あおいちゃんの演技の奥深さの表れのような気がした。
明日はいよいよ桜子の結婚シーンだろうか。明日も見逃せない。