なっちゃんPEAKの「捺子頂上」を聴いて

今日はいっぱい新譜が出る日。なっちの「ストレス」なんかも出てるけど、
僕としては、なっちゃんPEAKの1stアルバム「捺子頂上」を真っ先に聴きたかった。
新宿のタワレコで買おうと思ったけど降りるの面倒臭く、地元の新星堂にもあるだろ
と考えて行ったら売ってなくて、焦ってHMVに行ったら2枚置いてあって買えた。ホッ。
全10曲プラス初回盤特典のボーナストラックが2曲。これで税込み2100円は安い。
まず、「I can fly」がいい。♪タリラリラッタ・タリラリラリラっていうサビのフレーズがたまらなく甘美だ。
この曲は1月にアップルストア銀座で行なわれたなっちゃんPEAKのライブで生で聴いたことがあって、
その時から音源化が待ち遠しかった曲。最悪良いのはこの曲だけで後はクソ曲でもいいやと
思っていたぐらい聴きたかったので、いい形で再会できてうれしい。
初めて聴いた曲の中では、ボーナストラックの「チェリー」が一番良かった。
この曲はインストだが、歌が無いぶんシンプルでカッコ良さに徹した作りになっていて気持ちいい。
結局、通して聴いてみると、12曲全曲良かった。キラーチューンがないのはちょっと残念だけど、
これだけ粒揃いで実質的に捨て曲なしなら上出来でしょう。(遊び曲はあるけど笑えるから許す)


なっちゃんPEAKのPEAKこと柳健太郎は、自分がSUPERCARのファンであり、
スーパーカーのナカコーに憧れて曲作りを始めたと公言しているが、曲を聴けば、
その言葉に嘘がないことはよく分かる。ただ、両者の肌合いの違いもはっきりしている。
その違いとは、ひと言でいえば、「ロックへのこだわりの有無」だろう。
スーパーカーが元々ロックバンドだったことを思えば無理もないことではあるが、
中村弘二には「音はエレクトロ寄りやけど、ウチら今も基本はロックですから」的な
ダサい自意識があった。そしてそういう屈折した自意識が音の濁りとなって発現し、
結果的にスーパーカーの音楽全体がいまいち垢抜けない感じになっていたのも事実。
それに対してなっちゃんPEAKは、完全にダンスミュージックに特化しており、
ロックへの未練を全く見せない。このへんはエイベックスならではとも言えるし、
実は柳本人はロックへのこだわりをナカコーから受け継いでいるのかも知れないが、
少なくてもこれまでに発表されたCDを聴く限りでは、その部分は潔く隠蔽されている。
それによって柳の、卓越したとは言えないまでも、かなり筋の良いポップセンスと
サウンドデザインの巧みさが分かりやすく前面に出ている。それが勝因だろう。
なっちゃんPEAKSUPERCARの正統的な後継者と言ってよいかどうかは難しい問題だが、
少なくともiLLだのaMだのフルカワミキだのよりは、なっちゃんPEAKのがカッコイイと僕は思う。
こういうアルバムを聴くと、やはりライブを観たくなるのが人情というもの。
ボンブラやdreamと違って、なっちゃんPEAKのライブなら、死ぬ思いで頑張らなくても
済むはずだから、どこかちゃんと冷房の効いた、タバコの煙くさくない会場で
早くライブをやって欲しいな☆


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