Qlair『Qlair Archives』を聴いて

「アイドル・ミラクルバイブル」シリーズの最新アイテムとして、
QlairのCDがリイッシューされた。(2本のビデオもDVD化のうえ収録されている)
http://www.idolmb.net/
予約してなかったのでフラゲは無理かと思ったが、運良く地元の新星堂で29日に入手できた。
聴いてみると、まずその新鮮さに驚いた。懐メロとしての新鮮さか楽曲そのものの新鮮かは微妙だが、
「瞳いっぱいの夏」のイントロから亜紀ちゃんの「早起きに、いちおーくドぉルのたぁーいよー・・」
ともうここまで聴いただけで、時間は1991年に逆戻り。あとはCD3枚一気に聴いてしまった。


今回の企画の最大のポイントは、新曲「永遠の少年」である。お蔵入りしてたこの曲を
12年ぶりにあきちゃん、さっちゃん、ひろちゃんの3人が再会してレコーディングした。
そう聞いた時、期待に胸が高鳴る思いだったが、その期待は裏切られなかった。
実際、「永遠の少年」の感動をどう伝えたらいいのか?
厚めのアコースティックギターから入るいかにもQlairらしいイントロ、
端正なメロディー、甘酸っぱくリリカルな歌詞、きれいなハーモニー、
しかし何より驚くのは、3人の歌声があの頃と全く変わっていないことだ!
思わず「これホントに今年歌入れしたの?」と疑いたくなるぐらいあの頃と同じ、
さわやかで透明感のある、心地よくかわいい歌声が聴こえてきちゃうのである。
これには参りました。ここまでの感動があるとは思ってなかった。脱帽。


もう一つの売りはQlair本人によるライナーノーツである。これがまたヤバイ。
歌と違って、こちらは3人がいま(今年)書いてることが完全に信じられ、
そのことだけですでにクるものがあるわけだが、内容がまたいいのである。
たとえば「恋のメダリスト」について亜紀ちゃんはこう書いている。

この歌詞、実は三十路手前の女の歌ではなかろうか……!?
タイムのロスはしたくない?これ以上?(切実な問題か。)
あの頃よりも今のワタシにはしっくりきてます(笑)

受ける。そう、来年の2月で亜紀ちゃんも30だもんね。そりゃしっくりきちゃうだろさー♪
「永遠の少年」については、プロデューサーの篠崎恵子さんがコメントを書いている。
素晴らしい文章なので、少し長いが全文を引用させていただく。

12年前のあの日、本当にワクワク!していた。車の中で何度も口ずさんでは、
どんな詩にしようか、あれこれ考えていた。でも、……最高のトラックが完成したものの、
結局歌いれのスケジュールが入ることはなかった。その時クレアプロジェクトは
終ってしまったのだった。2005年に9月にSony Music Directからクレア再発の話が
突然降ってきた、その瞬間、12年間、心の奥深く封印していたこの曲の事が鮮烈に
よみがえってきた。完成させたい一心で、無理を言って予算を捻出してもらったものの、
今度は、どこを探してもマルチテープが見つからない! 一時は断念しかかったのだが、
外部スタジオに問い合わせたところ、何と奇跡的にも12年も倉庫の中で人知れず
眠っていたことがわかり、即、回収。あとは怒濤のスケジュールを一気にくぐりぬけ、
気がついたら出来上がっていた。終えてみると、この作業は誰の為でもなく、
自分の為だったと感じる。12年前に塗り込めてしまった窓はその時の自分をも
封じ込めてしまっていたのだ。壁のようになっていた窓をやっと開ける事が出来た時、
そこに見えたのは自分の中にいつまでも変わらずにあるクレア=永遠の少年だった、
そして閉じ込められていたその少年は自由を手に入れ、今と言う時間に確かに受け継がれた。
本当に完成できて良かった。そしてどうか、数奇な運命のこの曲が皆さんの心に響きますように。


・・・いかん、また泣けてきた(笑)


これだけのものが発売された以上、クレアプロジェクトが有終の美を飾ったことに
満足すべきなのかも知れないが、実際には、これだけのものが出てしまったからなおのこと、
より理想的な完結を望みたくなるのが人情というものである。具体的に言えば、
ライブDVDの発売が切に望まれる。これは元Qlairファン全員に共通する願いだろうが、
個人的には特に「Qlairのテーマ」を聴きたいのだ。あの「オーライ、オーライ」という
はじまりだけで、体内の血が沸き立つような感覚が、今とりわけ懐かしく感じられる。
幸い売れ行きも良いようなので、Sonyさんにはぜひ2匹目のどじょうを狙っていただきたい。